Sunday 5 May 2019

エリオット・スミス プレイリスト(8)The Loved Ones / Elvis Costello and the Attractions


ついにはカップラーメンの生みの親の名前のアルバムまで作ったよ。

ES: 僕が高校生の時、エルビス・コステロのレコードは、自分一人だけが変人と感じるのと、それとも変人の中の一人でしかないって感じるのとはこんなにも違うっていうことに一役買ってくれたんだ(笑)

特にどのレコードが?

ES:『インペリアル・ベッドルーム』、特にこの一枚かな。

Barney Hoskyns氏によるインタビュー録音より

80年代後半は日本でもコステロが高く評価されていた頃で、私も高校生の時に聞いていたんですけどね。でもこの『インペリアル・ベッドルーム』のプロデューサーが、ビートルズの一連の傑作、『リボルバー』、『サージェント・ペパーズ』、『アビーロード』のサウンドエンジニアだったジェフ・エメリックと知ったのは最近のことなんです。若きエリオットのアイドルだったコステロですが、シンプルなパンク・ロックから出発し、ジャンルにとらわれない彼らしいアプローチで、様々なアルバムを出し続けられたところは、エリオットにとって理想のミュージシャンの形だったかもしれません。

コステロの作品は初期のほうがいいって思っている人が多いし、このアルバム、すごく良く作られていて、バンドのメンバーの演奏もアレンジも圧倒的なのに、クセがあって入りにくい気がするんです。そういう意味ではエリオットの『フィギュア8』に近いのかも。それにはそれなりの理由があって、ミュージシャン、またはプロデューサーとして進化していくために、一度はこういうアルバムを作らなきゃいけなくて、つまりあらゆるジャンルの音楽を自分の音楽として消化するためのアウトプットを一流のエンジニアとスタジオで実験して、サウンドプロダクションの過程を自分のものにしたいという野心がコステロさんにあったのかもしれません。

どうやらこのジェフ・エメリック氏、ベースの録音に秀でているようでリズム隊がたしかに際立っています。後に『フィギュア8』の中でドラムを数曲演奏しているのは、アトラクションズのドラマーのピート・トーマスで、なんとなく『フィギュア8』がどういうアルバムかっていう種明かしをしてくれてる気がするんですけどね・・・